100辞書・辞典一括検索

JLogos

14

キャ城ノ御嶽
【きゃぐすくのうたき】


佐敷町屋比久の集落北方の後原にある御嶽。方言ではチャーグスクヌタキという。須久名山のふもとの標高40mのところに位置する。現在,御嶽の前面には畜舎が建てられ,ギンネムが生い茂る森となり,再現された屋比久アシジーの墓があるのみで昔日の面影は全くない。「由来記」に神名クニナカツカサノ御イベと見え,屋比久ノロの崇ベ所。御嶽の東側はフカーヤマと称して,屋比久ノロが体を清めた聖地だったといわれ,井泉が1つ現存する。第2次大戦前まで2本のクバ(ビロウ)の木と香炉が1つあって,屋比久ノロが拝した。旧暦5月・6月ウマチーで拝所廻りの時に使う扇の材料や,ウンサク(神酒)を作る時に容器を覆うものとして,必ず御嶽のクバの葉を用いた。また御嶽前方のサトウキビ畑にマチガーをはじめとする数か所の井戸があり,御嶽を,村の精神的拠所とするクサティ(腰当)として集落を形成し,御嶽のオソイ(愛護)を受けて村人が生活するという沖縄古代の典型的な村落生活が営まれていたことがわかる。しかし御嶽の周辺は沖縄戦で破壊されたため,現在では集落後方にあるクシヌ嶽より遥拝されている。クシヌ嶽には4つの香炉があり,左から2番目がキャ城ノ御嶽,3番目がフカーヤマ,4番目がソコニヤ嶽を遥拝しているという。屋比久ノロ・根人・根神は遥拝を終えるとエーブクグヮー,ノロ殿内,渡嘉敷殿,地頭代殿,グシク殿,ウフナカ殿の順で拝所を巡拝する。屋比久の集落は,キャ城ノ御嶽から外間(ほかま)集落の北方古島原に移動し,そこからまた現在地に移動したという説がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240385