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金武宮
【きんぐう】


金武町金武にある神社。琉球八社の1つ。熊野権現を祀る。観音寺の境内に洞穴があって,金峰山補陀落院観音寺縁起に「この洞は竜宮四万里,誰ぞ根源を知らんや。上人ここに彼の三尊を刻し,宮を建て権現の正体を崇め奉るなり」とあり,観音寺と同時に日秀の建立かとしている(由来記)。三尊とは弥陀・薬師・正観音のこと。洞穴の入口から約20mのところに,縦45.5cm・横66.7cm・奥行48.5cm・棟高75.8cmの陶製の社殿があり,本尊は陶製の千手観音。扉の刻文に「大清同治二年癸亥十二月十三日現住頼源」とあって,同治2年(1863)の造立と思われる。しかしこの社殿は昭和56年に破壊され,現在は有志により1mの台上に棟高1mの社殿がセメントで造られ,以前の陶製の社殿の破片が中に納められている。金武宮は王府時代から役俸を支給される神官が配置されず,観音寺が管理していた。また洞穴は琉球石灰岩や,洞穴の発達段階,洞穴内生物との関係などを調査するにも貴重な場所で,鍾乳石と石筍が多く,奇観を呈している。第2次大戦時には多数の住民が洞内に避難した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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