100辞書・辞典一括検索

JLogos

9

サシキン御嶽
【さしきんうたき】


糸満(いとまん)市大度にある御嶽。方言ではサシチンノダキという。大度集落の南,黄金森と呼ばれる東西にのびた標高15~20mの海岸砂丘の東端にある。「由来記」にはサシキンノ嶽,神名オシアゲヅカサキウフヅカサ潮花司七ツ御イベと見え,奥間ノロの崇べ所。ニライ・カナイの神を祀るので,海辺の見通しのよいところに設けられているともいい,また干潮時に徒歩で渡れるリーフ上にある香炉の遥拝所ともいう。大度海岸東側の絶壁の下の波打ち際に泉がある。尚巴志王(1422~39在位)が,即位以前の佐敷小按司と呼ばれた頃,船遊びの帰りにここで水浴びをしたといい,サシチンガー(佐敷川)と名付けられた。泉の上の岬も佐敷岬という。御嶽名も佐敷にちなむものか。佐敷岬とサシキン御嶽に隣接する入江にはかつて唐の貿易船が出入りしたといい,トウガー(唐川)と呼んでいる。昔,月夜に鬼が出て村の娘を食ったという伝説がある。村では唐川の鬼に対抗するために獅子面を作って村の守り神とし,旧暦8月15日に獅子舞をして厄祓いを行う行事がある。大度の国元(草分け)の家号は獅子屋である。大度浜は咸豊元年(1851)ジョン万次郎が上陸した地でもある。西隣に米須貝塚(県史跡)とスーガー(海岸湧水帯)がある。また周囲は東に断崖,西に砂浜が続く景勝地で,釣り・海水浴などのレジャー客が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240641