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識名宮
【しきなぐう】


那覇(なは)市繁多川4丁目にある神社。祭神は伊弉冉尊・速玉男尊・事解男尊。琉球八社の1つ。「琉球神道記」は尸棄那権現と書き,「縁起亦明ナラズ。熊野神ト見ヘタリ。石窟惟霊地也」と記し,「由来記」の姑射山大権現並寺縁起之事も同内容を伝える。「遺老説伝」によれば,識名村に夜々光輝することがあり,大あむしられが検分をしたところ,洞内に賓頭盧が1体安置されていたといい,彼女が尊信すると感応があった。尚元王(1556~72在位)の長子尚康伯の病気回復に霊験を得て,識名宮と神応寺を建て,大あむしられに看守させたという。洞内には阿弥陀・薬師・観音を安置してあったが,洞内の湿気で堂宇の腐朽がひどく,康煕19年(1680)に宮殿を洞外に構え,瓦葺とした(由来記・球陽尚貞王12年条)。惣奉行は阿姓4世守浄で,3月11日~4月20日に拝殿・石垣などの修補が完成した(阿姓大宗家譜/那覇市史資料1‐7)。毎年1・5・9月の吉日に国王の行幸があった(球陽尚貞王13年条)。王府時代は官社とされ,神職の役俸と営繕費は王府から支給された。明治6年の「琉球藩雑記」では,祝部2石・内侍1石5斗・宮童1俵とある(県史14)。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240679