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しよりおやひかわ
【しよりおやひかわ】


「おもろさうし」に見える樋川の名。那覇(なは)市首里当蔵町,首里城内の瑞泉門の左側崖下にある竜樋のこと。「ひかわ(樋川)」はヒージャーといい,湧水を樋で導きためたところ。「おやひかわ」はそれをほめた表現である。竜樋というようになったのは,嘉靖年間(1522~66)のはじめ,沢岻親方盛里が中国から「吐水石竜頭」を持ち帰り,そこに設置してからであろう(毛姓小宗家譜/那覇市史資料1‐7)。「由来記」に「当国第一之清水故,稲穂祭之時,以此水,ヲシロマシ調,西之御殿手本御祭ニ,供之。且,勅使来臨之時,在旅中,毎朝送賜此水也」とある。巻8‐44,No.436の1首のみに次のように謡われている。一あかのおゑつきや(阿嘉のお祝付きが) ねはのおゑつきや(禰覇のお祝付きが〈オモロを申し上げます〉) しよりしゆ(首里こそ) もゝうら ひく くすく(多くの浦々,村々を引きよせる城だ)又しよりおやひかわ(首里の親樋川は) みつからと 世かける(水の故に世を支配する)又くすくおやひかわ(城の親樋川は〈水の故に世を支配する〉)「あかのおゑつき」「ねはのおゑつき」はオモロ歌唱の名人。首里城と城内の親樋川をほめたオモロである。「おやひかわ」は,「おもろさうし」にはほかに佐敷村内の「さしきおやひかわ(佐敷親樋川)」が見える。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240792