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タコ川ノ御嶽
【たこがわのうたき】


佐敷町新里にある御嶽。方言ではタクガーヌタキという。新里ビラ(坂)頂上近くの,標高100mのところに位置する。「由来記」に神名カホウモリシマギシノ御イベと見え,馬天ノロの崇べ所であった。高さ10mの断崖の石灰岩の中央部辺りに湧泉があり,そこからの流れをタクガーという。湧泉に向かって右側に,石灰岩の洞窟を利用した石積みの3基の墓がある。湧泉から最も遠い墓をナンジャン墓といい,他の2基をシラミクアマミクヌ墓・ウシジンテージンヌ墓というが,区別はつかないという。祖霊神を祀った墓と思われ,ミージョウ門中が,旧暦正月16日と清明の時に拝む。5・6月のウマチーでは,タクガーの側に第2次大戦後作られた井戸を拝む。これらの湧泉や墓地を含むタクガーの一帯をタコ川ノ御嶽という。戦前まで,タクガーにフートゥンジャダーという神田があり,田植えを始める前にこの神田を拝したという。タクガーの北方400mの沢川原には,戦前まで屋敷があったといわれ,ノロ殿内もある。現在,当御嶽の周辺には砂防ダムが造られ,聖域の景観を損なっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7240959