ちゑねん
【ちえねん】
「おもろさうし」に見える地名。知念村一帯に当たる。「ちへねん」,まれに「ちねん」の表記もある。「おもろさうし」巻19の表題は,「ちゑねん,さしき,はなくすくおもろ御さうし」で,18首の知念関係のオモロがまとまって収載されている。「ちゑねんもりくすく(知念杜ぐすく)」を謡ったものが最も多く,「ちゑねんもり(知念杜)」や「ちゑねんあつめな(知念集め庭)」も見える。「ちゑねんもりくすく」は現在の知念村知念にある知念城跡に当たる。ほかに知念の祭祀圏に属したと見られる「あざま(安座間)」「ちにや(知名)」「くだか(久高)」の地名も見える。近世,沖縄第一の聖地とされた斎場(さいは)御嶽もこの域内に含まれる。巻19-32,No.1312に次のように謡われている。一ちゑねんもりくすく(知念杜ぐすく) かみおれはぢめのくすく(神降り初めのぐすく)又ちやくにもりくすく(大国杜ぐすく) かみがおれはぢめのくすく(神の降り初めのぐすく)知念杜ぐすくが由緒深いグスクであることを讃美して謡ったオモロである。「知念杜くすく/あまみ人(きよ)が/宣立(のだ)て初めのくすく(知念杜ぐすくはアマミキョ神が宣立て初めのぐすく)」(巻19-31,No.1311)とほめ,また,海外との交易が盛んなことを,「知念杜くすく/唐の船/こゝら寄るくすく(知念杜ぐすくは唐の船がたくさん寄るぐすく)」(巻19-30,No.1310)とも謡っている。このほか,「知念杜くすく/上て行けは/太陽(てだ)(ここでは太陽的人物,領主のこと)が 誇りよわちへ(お喜びになって)」(巻19-24,No.1304)とか「知念杜くすく 清らや/上下の世襲(よそ)い御殿(上下の世を支配する御殿)」(巻19-26,No.1306)など,知念杜ぐすくの人物や建物をたたえたオモロは数多くある。
 | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7241008 |