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地城御嶽
【ちぐすくおん】


石垣市平得(ひらえ)にある御嶽。平得集落の北方約3kmに位置し,方言ではギシュクオンという。御嶽の由来は,神代に首里の弁ケ嶽にあった3体のイビ石のうち1体が見えなくなった時,キンマモンのミセセルに,イビ石は八重山に移り,白鷺が群れているところに住んで八重山を守護しているとあった。はたして,地城には白鷺が群れ,イビもあったので,これを霊地として崇敬したという(八重山島大阿母由来記)。現在は平得からツカサが出て祭祀しているが,平得・真栄里(まえざと)の人々が尊崇する。真栄里の旧集落は地城御嶽の南方にあって,この御嶽を腰当にする形になっていたらしい。かつては真栄里村の馬補佐が毎朝この御嶽に詣でて,逃走牛馬の害のないよう祈願した(八重山歴史)。平得のツカサが年頭に捧げる願い口「年頭」では,地城御嶽の神に前年が無事に過ごせたことを感謝し,また今年もよい年を迎えられるようにと祈願する(ニガイフチィ39/歌謡大成Ⅳ)。神名・イビ名は5つあるが,その1つは「オモトティラスヌカミ トゥス」で,於茂登(おもと)岳の水の神にちなむ。「新本節」は,「地城御嶽ぬ親神 神元ぬ大主 雨給うり大主 水給うり親ぬ神(地城御嶽の親神,神元の大主,雨をください大主,水をください親神)」と始まる雨乞歌である(節歌補遺29/歌謡大成Ⅳ)。地城御嶽と水神とのかかわりが端的に表われている。この御嶽のおかげで,遠い於茂登岳まで行かずに雨乞祭儀を行うことができたという(八重山歴史)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241009