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当山の石畳道
【とうやまのいしだたみみち】


浦添(うらそえ)市当山にある石畳道。当山の北西部,牧港川中流(地元ではメーガーラ)を渡るかつての宿道(官道)の一部。牧港川を挟んで全長約200m・幅4.5mで,谷間をS字形に通っている。建設年代は不明であるが,表面の石はすりきれてなめらかになっており,道の古さを物語る。この道は18世紀の「里積記」に仲間の浦添番所から宜野湾(ぎのわん)まで6合3勺9才(約2.6km)と見える道の一部と思われる。谷間の南面には浦添城跡・浦添ようどれがあり,北は当山から嘉数(現宜野湾市)へ抜け,松並木で有名であった宜野湾街道へと続いた。またこの石畳道は馬転じあるいは馬ドケーラシと呼ばれるほどの交通の難所でもあった。石畳道はメーガーラを当山橋で渡る。この橋は長さ5m・幅3m,水面からの高さ約5mの石橋で,橋脚は自然岩の一部を利用しながら,立上りわずかに勾配がついた切石積みである。拱石は12枚からなり,アーチ形をなしている。大正初期までは木橋であったが,その後石橋に改築され,第2次大戦後さらに修復されたと思われ,昭和29年の文字が刻まれている。当山の石畳道は王府時代の首里上り道の一部であり,浦添市内にはほかに戦後しばらくまで経塚と沢岻(たくし)の坂道に石畳道があったが,現存しているのは当山の石畳道だけである。県内でも数少ない石畳道で,歴史的・学術的に価値があるとして,昭和59年に市史跡に指定された。




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「角川日本地名大辞典」
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