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中森御嶽
【なかむいのうたき】


今帰仁(なきじん)村古宇利小字古宇利原にある御嶽。方言ではナカムイヌウタキ,あるいは単にナカムイ・ナハムイなどという。古宇利集落の西側に位置する。「由来記」には「中嶽 郡村 神名,ナカモリノ御イベ」と記されている。御嶽の中には祠があり骨が祀られている。付近には神アシャギやウンジャミ(海神祭)の時に使われる舞台がある。沖縄における人類発祥地であるとする神話伝説で知られる古宇利島には,ナナムイ・ナナタキ(七森・七嶽)と呼ばれる7つの御嶽があり,中森御嶽はその1つで,ほかに島の北東部にプトゥキヌメーヌ御嶽,島の南側にマーハグチ・ハマンシー・マチジヌ御嶽・ソーヌ御嶽(ソーバイ)・トゥンガヌ御嶽がある。沖縄ではふつう集落の背後に御嶽があり,その近くにニーヤ(根屋)を配し,その前方・下方に家々が展開するのが一般的であるが,この御嶽と古宇利集落の関係はそれと異なる。古宇利にはムトゥジヤーといわれる家が7軒あるが,どれが古宇利の根屋かは不明で,このうち3軒が中森御嶽を見下ろす位置にある。そのため中森御嶽は古宇利集落の北にあるマチジヌ御嶽のお通しとも考えられ,「由来記」に本御嶽であるマチジヌ御嶽が記されていないのは,その当時には集落の移動に伴って祭祀の中心が中森御嶽へ移っていたためとも考えられる。中森御嶽にかかわる祭祀にはウンジャミ,御願プトゥチ,ノロの死亡時,御嶽の御願などがあり,古宇利の祭祀は中森御嶽が中心になって行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241274