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普天間宮
【ふてんまぐう】


宜野湾(ぎのわん)市普天間にある神社。祭神は熊野大神と沖縄の大氏神。琉球八社の1つ。「琉球神道記」に普天間権現とあり,由来は不明だが,「東ニ当テ瀑布アリ。其水霊也。松樹ハ高ク秀テ,古仙ノ住所トモ云ベシ。岩窟幽閑ニシテ,世尊入定ノ洞トモ伝ン」と記す。本殿は鍾乳洞の中にあり,洞内に白鶴岩・明王石・獅子座などと呼ぶ8つの霊石がある(普天満山三所大権現縁起/由来記)。普天間洞窟はもと農民たちが農具を置いていたが,のちだれの勧請かは不明だが焼物の観音像が安置され,人々が信仰した。また安谷屋村に貧しい夫婦がいて,その妻が1人の老翁から黄金を授かり,石厨子に観音像を安置し,人々が参詣するようになったとの説がある(同前)。順治元年(1644)に初めて国王が行幸し祈願した(球陽附巻尚賢王4年条)。普天間宮は村人や船乗りの崇敬も篤く,文化元年銘の薩摩船の船頭が寄進した灯籠や嘉慶18年(1813)と推定される西村の大城筑登之が奉納した普天満権現石額がある(県文化財調査報告書69)。王府時代は役知が支給され,明治6年の「琉球藩雑記」には祝部2石・内侍1石5斗・宮童1俵とある(県史14)。昭和14年頃の状況は,洞窟内の本殿は縦1間半・横1間半で,洞外に縦3間半・横2間半の拝殿がある。境内社地は233坪(琉球宗教史の研究)。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241600