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宮里前の宮御嶽
【みやざとまえのみやうたき】


名護市宮里の海岸寄りにある御嶽。地元ではメーウガミ(前拝み)またはメーヌタキ(前の御嶽)という。「由来記」に宮里村の御嶽としてマキヨガマノ嶽が見えるが,今日のどの御嶽に当たるかは不明。宮里は,北方の古湊(ぷるんなと)(現柳原)が発祥地とされ,次いでクシウガミ(後の宮)に移り,さらに現在地に移ったとされる。後の宮が男子禁制であるのに対し,前の宮は女子禁制であった。伝承によると,前の宮には僧侶が祀られており,僧侶は妻帯できないので女子は入れなかったという。国道449号に面して入口があり,鳥居が設けられている。祠は東に向いている。左縄が張られている中には立ち入れない。一帯にはハスノハギリ林が形成され,県天然記念物となっている。ハスノハギリの巨木を中心に,クワノハエノキ・リュウキュウハリギリ・サキシマハマボウなどが群落をなし,沖縄本島では希少な海岸性の植物群落として知られる。前の宮の祭祀責任者は,ホーニン(包人)と呼ばれる男性神役で,旧家の1つであるペーキンヤー(親雲上屋)門中からでる。なお,後の宮は根神が祭祀にあたる。前の宮をめぐる主な年中祭祀は,旧暦3月3日のハンカ,5月15日のウマチー(稲穂祭),6月のウマチー(稲大祭),6月25日のアケジュバリ,7月16日のミンクバイ(面賦),8月8~11日の豊年踊,8月10日のタンガイ御願,9月の火の御願・ミャーダニ(庭種)・ワラビミキ(童酒)・ポーウガン(大御願)などである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241856