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屋嘉比杜
【やかびむい】


大宜味(おおぎみ)村田嘉里の山手にある御嶽。「おもろさうし」には「やかひもり」と見える。かつての田嘉里川(屋嘉比川)河口は1km余内陸に入った現在の田嘉里集落の辺りにあり,古くは屋嘉比港ともいわれていた。「おもろさうし」巻13-176,No.921では,この港から外海に出る船の航海安全を祈り,神を崇べている。屋嘉比杜には特に祠はなく,ウガミ山(拝み山)と呼ばれ,神人が年3回祈願する。「おもろさうし」巻13-182,No.927には一くにかさに おわる(国笠におわします) おやのろは たかへて(親ノロをお祈りして) しまうちしちへ(島を平定して) あちおそいに みおやせ(按司襲いに奉れ)又やかひもり おわる(屋嘉比杜におわします) かねまるは たかへて(金丸をお祈りして)又あかまるに おわる(赤丸にまします) てくのきみ たかへて(てくの君をお祈りして)又あすもりに おわる(安須杜にまします) ましらては たかへて(ましらてをお祈りして)又おくもりに おわる(奥杜にまします) たまのきやく たかへて(玉のきやくをお祈りして)と謡われ,南から北上して国笠杜・屋嘉比杜・赤丸・安須杜・奥杜の聖地にまします神々に祈って航行し,島を平定して大按司に奉れの意で,屋嘉比杜には「かねまる」という神を祀るとする。近世には,神事を統率する屋嘉比ノロが置かれ,「由来記」には,屋嘉比ノロ崇べ所として,ガナノハナ嶽(親田村)・トドロキノ嶽(屋嘉比村)・中城之嶽(見里村)・ヨリアゲ森(浜村)が見える。現在,田嘉里の屋嘉比バールの山上にヌンドゥンチ(ノロ殿内)跡が残る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241916