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藪薩御嶽
【やぶさつのうたき】


玉城(たまぐすく)村百名小字伊佐良原の標高70mの琉球石灰岩段丘の東南端にある御嶽。「中山世鑑」の開闢神話に見えるアマミキョが作った藪薩の浦原の聖域に含まれる。「由来記」にヤブサツノ嶽と見え,「公朝御祈願」とある。藪薩は,ヤハシの崖葬地を意味し,仲村渠(なかんだかり)クルク(崖葬古墳群)のある崖下をヤハシバンタ(断崖)といい,アマミキョの神墓とあがめるアジシー(古墓)もある。御嶽にはタマガイコマガイノ御イベ・ムメギヨラタチナリノ御イベの二御前がある(由来記)。タマガイコマガイノ御イベはこの地から発する霊火や予兆がセジ(霊力)高いことによる神名で,またニライ・カナイヘの遥拝所であるムメギヨラタチナリノ御イベは女性のふくよかな胸の線を思わせるなだらかな御嶽の尾根の稜線をたたえた神名と思われる。近世の隔年一度の国王行幸で,「知念久高行幸之御時おもろ」のうちに,「玉城やふさつの御威部の御前にて」というオモロがあり,垣花の集落発祥地の御嶽である「おゑさともり」がたたえられている(おもろさうし巻22‐33,No.1540)。藪薩御嶽は垣花ノロの崇べ所で,現在でも垣花住民により祭祀が続けられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7241948