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ヨリアゲ御嶽
【よりあげうたき】


糸満(いとまん)市糸満にある御嶽。方言ではユヤアギムイ・イビヌメーという。「由来記」にはヨリアゲノ嶽,神名シロカネノ御イベとあり,一般に白銀堂と称されている。白銀堂の由来は神名シロカネノ御イベに付会されたものという(南島風土記)。字糸満の国元(発祥地)とされている。字糸満北部の国道331号沿いに位置し,報得川左岸,標高20~30mの石灰岩丘の先端に当たる。巨大な石灰岩塊が散在し,それに囲まれた祭祀の広場は,字糸満の殿である。もとは巨石が並立し,中には数百人を収容できたという。境内南側に巨大な石灰岩のイビ石があり,毎年1月には根人をはじめとする村の神職が祭祀を行っている。またウマチー・ハーリーや綱引きなど重要な神事にも祈願が行われる。白銀堂の由来は,「遺老説伝」に詳しく,また解説書も多く出版され有名である。幸地腹と根人腹の金城家に伝わる伝説では若干の違いがある。しかしどちらも「心怒れば,則ち手を動かすなかれ,手動けば則ち当に戒心すべし」(怒った時は手を出すな,手が出たときは意地はるなの意)を教訓としている。昭和8年に1万7,000円の寄付金などで岩に接続する赤瓦の建物・石灯籠・鳥居などを建立した。第2次大戦前まで根人家が管理していたが,戦後は市有地となり市の管理となった。現在も家族の繁栄と健康祈願,旅の安全,豊漁,豊作および字の繁栄を祈願する御嶽として崇敬されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7242054