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長部(中世)


 戦国武士長部氏の本拠地。岩井郡のうち。本姓は千葉氏か。大原氏や寺崎氏の姻族。長部氏の名を知らしめたのは,天正9年7月の狐禅寺騒動である。この事件は葛西氏の有力家臣黒沢豊前守信道と東山長部孫八郎忠俊が合戦したものである。衝突の原因は明らかでないが,西磐井上黒沢城主小岩越中守信明・栗原三迫片合上吉目木城主千葉式部大夫胤成等が黒沢信道を支援し,小岩信明は長部忠俊を討ち取ったことを伝えている(県史3-42・43頁)。また,天正19年8月に猪岡隼人とともに出兵し,伊達氏のため桃生郡須江山で殺害された人々の中に,長部中館城主の千葉式部大夫胤資なる人物がいる(猪岡文書)。長部孫八郎と千葉式部大夫の関係不明。長部城(中館城)は中館に城館跡が残る。東西120m・南北180m,比高80mの山城。本丸と思われる平場は東西40m・南北100m。北西部には土塁があり,その外側には三重の濠跡が残る。その他,竜ケ坂には道綱西館,二反田には内館,月館には築館などの跡がある(仙台領古城館)。なお,慶長5年の葛西・大崎船止日記には「一,おさべの内 ふね二そう」と見える(伊達家文書)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7253241