春秋(中世)

鎌倉期に見える地名。常陸国鹿島郡のうち。鎌倉期と推定される年未詳の常陸国行方【なめがた】・鹿島郡切手郷注文に「同(南条中村)宿内春秋」と見え,鎌倉期以前に成立した名田であったと思われる(税所文書/県史料中世Ⅱ)。「新編常陸」によれば「弘安大田文ニ,南条中村内春秋トアリ」とあるから,現在は欠失している弘安田文の鹿島郡分に春秋もあった。また同書には「中世大掾氏ノ族,此地ニ居リ,春秋氏トナル」とある。鹿島氏の一族が鎌倉期に中村郷を中心として勢力を徐々に広げていったことが「常陸大掾系図」に見え(続群6上),春秋氏もその庶子家のひとつであろう。文禄4年7月16日の中務大輔当知行目録写には「八拾三石壱斗 春秋」と見える(佐竹義秀文書/家蔵文書)。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7276148 |