井口新田(近世)

　江戸期～明治22年の新田村名。上連雀【かみれんじやく】新田ともいう。多摩郡野方【のがた】領のうち。幕府領。享保年間に開発された武蔵野新田の１つ。開発者は上連雀村名主井口権三郎。検地は元文元年，村高344石余。天保年間は変わらず，元文４年の家数21軒，化政期48軒（新編武蔵）。権三郎組と五郎左衛門組の２組があった。北方玉川上水北岸（都水道局浄水場の地）に飛地堀端，南方に３石余の持添矢ケ崎【やがさき】新田がある。畑のみの平坦な地で江戸道または連雀通りと称される往還（小金井街道）が東西に貫き，玉川上水分水の砂川用水が往還の傍らを流れる（新編武蔵）。小名横町の鎮守八幡社は上連雀村井口院の持ちで，祭礼の際，上連雀村神明社ののぼりを用いる習俗が明治期以降まで続いた（三鷹市史）。また井口家の旦那寺蓮華寺があったが，化政期には廃寺となる。明治５年神奈川県，同11年北多摩郡に所属。同22年三鷹村の大字井口となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7297780