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井上郷(古代)


 平安期に見える郷名。「和名抄」山梨郡十郷の1つ。郡を5郷ずつ東・西に分けた場合は山梨東郡に所属。東急本の訓は「井乃倍」,高山寺本の訓は「為乃へ」。東八代【ひがしやつしろ】郡御坂【みさか】町上井之上・下井之上はその遺称であり,現在の御坂町が郷域であったと推定され,後世郡域に変動があったことが知られる。ただし当時の国府の跡とされる御坂町国衙は,「和名抄」によれば八代郡に属しているから,井上郷と八代郡八代郷とは接壌して一区域をなしていたかも知れない。この地域の集落の密集度が高かったことは,二の宮姥塚遺跡がこれを実証している。なお源頼信が甲斐守の時,井上郷に居館を構えたため,その子頼季は井上氏を称したとの説が,「国志」以来一部に説かれているがにわかには信じ難い。この郷は東は林戸郷,西は八代郷,北はおそらく玉井郷に接していたであろう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7335151