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殿島村(近世)


 江戸期~明治8年の村名。伊那郡のうち。高遠【たかとお】藩領。村高は,「天正高帳」に「殿島,狐島トモニ」として1,442石余,「正保書上」1,678石余,「元禄郷帳」1,833石余,「天保郷帳」1,922石余,「旧高旧領」2,087石余。近辺では随一の穀倉地帯。村の北側および西側は三峰川と天竜川の氾濫原で,ここを田畑としており,対岸の狐島村・沢渡【さわんど】村との境界紛争も頻発した。宝永元年村内が三分されて上殿島・中殿島・下殿島となり,安政2年榛原村を,慶応元年原新田村を開拓開村した。榛原村・原新田村の開拓に役立った鞠ケ鼻井筋は,明暦年間,次いで明和年間に起工したが失敗,文化11年になって高遠上山田村鞠ケ鼻からの導水に成功。天保年間伊東伝兵衛が井筋を改修して灌漑面積を広めた。なお慶応元年中殿島村から眼田村が沢渡村として分村した。中殿島に殿島城跡があり,天文・弘治年間頃伊那部氏の居城であった。諏訪社・御射山明神を合社した春近神社がある。寺院は上殿島に曹洞宗殿島山光久寺があり,寛永9年天竜川対岸の旧地から移った。明治4年高遠県を経て筑摩県に所属。同8年東春近村の一部となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7340465