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菖蒲(近代)


 明治22年~現在の大字名。はじめ蒲野部村,大正6年大正村,昭和28年からは鳥取市の大字。明治24年の戸数75・人口401,船14(徴発物件一覧)。米作を中心として続いてきたが,千代川や支流有富川の決壊による洪水常襲地でたびたび浸水の被害を受けた。菖蒲山(釣ノ山)と千代川に挾まれた地域で面積が狭く,千代川の方へ傾斜した地形のため,溢れた水は同川右岸よりも早く襲い,破壊力も強く,当地を直撃した(千代川史)。台風シーズンになると毎年のように洪水に見舞われ,床上浸水に脅かされ,そのため小庄屋前島万蔵宅では門長屋の天井に舟をつるし,出水に備え,舟を下ろして,救助に使用したこともたびたびであった。同宅では明治30年頃,当時近郷では珍しい2階建を新築したが,これも1階の浸水を逃れるためでもあった。旧村社菖蒲神社は大正13年地内宮ノ谷の大平神社を合祀,現建物は,昭和のはじめごろ,鳥取市上町の護国神社旧建物を譲渡されたものである。世帯数・人口は,昭和30年78・493,同40年79・413,同50年84・373と人口の漸減が続き,鳥取市へ通勤する兼業農家が主流を占めている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7408664