鉄砲町(近世～近代)

江戸期～昭和41年の町名江戸期は高知城下新町の１町で，明治初年北街，同22年からは高知市の町名となる城下の北東端，江ノ口川右岸に位置する町人町片側町南は北新町，西は横堀に架かる刎橋を通って下町の山田町，東は下知村町名は，かつて江ノ口川堤防警護の鉄砲足軽が居住していたことによる寛文７年の城下町絵図には，町家ではなく「足軽町」と記されるなおこの足軽町は当町域から，北新町・中新町・南新町の東端および田淵の東部に広がる「高知風土記」には「北堤添鉄砲町と云，東西弐間（百カ）五十間・南北二百間，家数百五十五軒，御足軽住居，依之鉄砲町と云」と見える元禄11年足軽組は農人町へ移され，その跡地には同年の城下大火に罹災した諸寺院が再興され，新寺町と称された「高知風土記」によれば，広さは東西114間・南北171間，寺数18うち５か寺は貢物立て，13か寺は免許とある寺名は大超寺・西念寺・浄福寺・真慶寺・真宗寺・遍照寺・長泉寺・真光寺・真証寺・真立寺・金剛院・善法寺・山泉寺・専修寺・大善寺・安養院・十楽寺・蓮乗院・五法院の19か寺が知られるが（高知沿革略志），これら寺院の多くは，宝永４年の大地震および江ノ口川堤防決壊により小高坂村・潮江村などに移転した当町など新町西端には用水路の井手（出）淵が東西に流れ，当町域では堤防沿いに刎橋から用水が分流されていたなおこの用水経路はのちに変更された（同前）土佐勤王党員で，のち池田屋事件で倒れた石川潤次郎，同じく池田屋事件に遭遇した幕末の志士野老山吾吉郎，また「港の午后」「灯台の見える」で知られる大正期洋画壇の重鎮石川寅治はともに当町の出身世帯数・人口は，昭和６年98・362，同40年176・532（男246・女286）昭和41年桜井町１～２丁目・宝永町となる

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7436382