深海村(近代)

　明治22年～昭和31年の北高来郡の自治体名。深海・藤田尾の２か村が合併して成立。旧村名を継承した２大字を編成。深海に深海を冠称した船津名・建山名・古場名，藤田尾に藤田尾を冠称した大戸名・冨地戸名の行政区がある。村役場は深海船津名に置かれた。明治24年の戸数415・人口2,115（男1,044・女1,071），寺院２，学校１，水車場３，大船33・小船108（徴発物件一覧表）。世帯数・人口は，大正９年391・1,883，昭和10年376・2,010，同25年471・2,616。大正４年の「長崎県大観」によれば，戸数403・人口2,444，学校は深海尋常高等小学校があり，児童数は318（男167・女151），官公署には村役場，神社は深海神社，寺院には天初院・蓮行寺があった。また特産物として摺海老2,000斤・1,000円，干ムツ１万尾・200円，干アミ50石・250円が記される。同６年の産業別戸数は，農業397（専業166・兼業231）・漁業172（専業102・兼業70）・養蚕業137（兼業のみ）・工業22（専業２・兼業20）・商業28（専業６・兼業22），反別は田73町７反余・畑87町・山林124町８反・原野209町７反，主な農産物の産額は米３万3,658円・麦１万2,810円・甘藷9,952円・蕎麦1,728円，特産として茶があり，泉水海漁業が盛んで，従業戸数も諫早湾岸の郡内諸村中ではもっとも多く，保有する漁船100隻・漁網78張（北高来郡誌）。昭和31年高来町の一部となり，村制時の２大字は深海のみとなり同町の大字に継承。藤田尾を冠称した各行政区は冠称を深海に改め，他の行政区とともに同町の行政区に継承。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7449240