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松合(近代)


 明治22年~現在の大字名。はじめ松合村,大正5年松合町,昭和31年からは不知火町の大字。明治24年の戸数754,人口は男1,982・女2,051。産業は農・漁業と商工業で,居住域は山間の農村部,海岸の漁村部に分かれ,その中間に商店街を形成。江戸期に開けた港は藩内一の漁港として名声を博し,明治30年代に最盛期を迎え,水揚げされた魚は熊本市や近在の村々に運ばれ,松合の魚として知られた。第2次大戦後急速に海底の土泥化が進み,昭和28~42年の不知火干拓で漁場が狭くなり漁獲量は減少した。現在はエビ・カニ・コノシロ漁が続けられている。ノリ養殖も昭和24年から始められ,最盛期の同30年代後半には250近くいた業者も,同40年以降不作が続き,現在は10業者が従事しているにすぎない(松合漁業協同組合資料)。明治期から昭和初期にかけて,醤油醸造が盛んとなり,製品は大型帆船で遠く奄美大島(鹿児島県)や五島(長崎県)あたりまで送られた。集落の中央を東西に通る県道松橋三角線が狭小なため,昭和46年防波堤を利用してバイパスが完成。同49年唯一の米作地である救之浦新地は水田転作事業で,ブドウのハウス団地に変わった。旧富岡街道の道筋には白壁と土蔵造りの旧家が軒を連ねて昔の繁栄をしのばせていたが,年々そのおもかげは消えつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7454054