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日勝道路
【にっしょうどうろ】


日高地方日高町と十勝地方清水町を結ぶ道路。国道274号の一部で,日高山脈中の日勝峠を通る。延長57.8km。峠にある長さ580mの日勝トンネルは標高1,023mで道内3位の高さ。十勝側の展望台から雄大な十勝平野を眺望できる。日高地方と十勝地方を隔てる日高山脈を横断できる箇所は長い間南端の襟裳(えりも)岬,北端の根室本線狩勝峠くらいであった。明治末期日高地方北部の沙流(さる)川流域の奥地に入植した人々にとって,沙流川の上流から十勝に出る道の完成は多年の願望であり,十勝側でも同様であった。古来続いた日高アイヌと十勝アイヌの交流路が近代的な道路として開削される契機となったのは昭和29年の洞爺丸台風である。この台風による風倒木処理のため林道の拡張が行われ,沙流川流域の電源開発とも相まって,日勝道路建設が計画され,着工後10年を経て昭和40年に開通した。日勝峠近くの十勝側や沙流川上流域では屈曲部を少なくするための道路工事が今も進み,一部は砂利道のままになっている。開通への地元民の期待の大きさは峠の開通記念碑に「一過墜道樹海鮮……町民歓喜憾山川」とあることからも知られる。現在は車での札幌~帯広間の往来に両地点の最短距離で,冬季も雪が少ない日勝道路を経由するのが一般化している。沙流川上流域は切り立った崖と清流が続き,特に紅葉の景観はすばらしい。日勝トンネルを過ぎると一転して,雄大な十勝平野が展望され,変化に富んだ観光コースとして,観光バスのメインルートの1つとなっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7600347