100辞書・辞典一括検索

JLogos

5

鏡山
【かがみやま】


蒲生(がもう)郡竜王町と野洲(やす)郡野洲町の境界にある標高384.8mの雨乞岳竜王山と,南の標高207mの星ケ峰の総称。近江名山の1つで歌枕。鏡の縁で影を主材とする。醍醐天皇の即位に際して,大伴黒主が詠んだ「あふみのやかゞみの山をたてたればかねてぞ見ゆる君が千とせは」(古今集),宮内卿永範が「久寿二年大嘗会の悠紀方の屏風に近江国鏡山をよめる」と題して「くもりなきかゞみの山に月を見てあきらけきよを空にしるかな」(新古今集)などがある。また元暦元年9月の「近江国注進風土記」に国内約80か所の名どころが列記されているが,その中に鏡山も見えている(山槐記)。さらに鏡山は「太平記」巻2中の日野俊基が関東へ護送される時の有名な道行文にもあらわれている。壬申の乱で大海人皇子が美濃から近江に入り大友皇子と戦った際,大海人皇子の武将鏡大君がこの山で討死したことから山の名がつけられた。鏡氏は佐々木氏の支流で星ケ峰に居城していた。現在北部尾根を国道8号が通る。古来の中山道の要所で,峠の道路沿に義経元服の地がある。山麓には古墳群があり,銅鐸も出土。古代から湖東地域の生活拠点であった。浸食が進み各所に山肌が露出,山地を水源とする河川は水無川が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7604557