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交野ケ原
【かたのがはら】


枚方(ひらかた)丘陵の北東に広がる交野台地の旧称。古代から中世にかけては原野が取り残されていた。交野台地は標高20~30m,勾配1,000分の3と平坦に近く,地質的には中位枚方層に属する。砂礫が多く,ために水不足で中央部から先端部へかけて多くの原野が広がっていた。台地面には天野川・穂谷川・船橋川が北西流し,樹枝状の谷を刻んでいる。この原野には野鳥が多く京都に近いところから,都の貴族の狩猟地として知られるようになった。一般人の狩猟は禁じられ,交野の御狩場・交野の御野(みの)などと呼ばれた。桜の名所としても知られ,歌枕にもなっている。「太平記」の「落花の雪にふみ迷ふ,交野の春の桜狩,紅葉の錦着て帰る,嵐の山の秋の暮」など詩文は枚挙にいとまがない。天野川の峡谷を通じて大和地方と関係が深く,水の得やすい河岸や山麓は早くから開けた。台地面の原野の開発には大小の溜池が設けられ,漸次水田化が進められた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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