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新見往来
【にいみおうらい】


備中松山(高梁(たかはし)市)と新見(新見市)を結ぶ街道。吉備高原をV字谷をつくって蛇行する高梁川沿いに,ほぼ並行して通っている。松山城総門前の広小路(高梁市川端町)を起点とし,幡見―今津―川面市場―田井を経て,道は峡谷を離れて高梁川右岸の山中に入って大栢(以上高梁市)の山越えとなり,法曽―井倉を経て,再び川沿いに至り,石蟹(いしが)―正田(以上新見市)と新見の小盆地に入り,正田で吹屋往来と合し,新見に至る。幡見からは金川往来が分かれており,吉備高原上の集落を結んで金川(御津郡御津町金川)に通じ,高梁では松山往来に接続して備南地域と,新見では伯耆往来と接続して山陰地方と連絡した。今津(高梁市津川町今津)の木野山神社は霊験あらたかな社として全国に50万人を超える信者と数千の講社(木野山講)をもつ。井倉は鍾乳洞で有名であり,この付近の峡谷は阿哲峡と呼ばれ,明治期以前は難路であった。江戸期は高梁川の高瀬舟舟運が主であり,明治末期,荷馬車輸送の出現により道は改修されたが,昭和3年の伯備線全線開通によりさびれた。近年の自動車交通時代の到来に伴い,旧道の一部は国道180号として利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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