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瀬戸田港
【せとだこう】


豊田郡瀬戸田町と三原市にまたがる港。県管理の地方港湾(乙種)。生口島(瀬戸田町)の北・西の海面で,瀬戸田町の高根島や三原市の佐木島に囲まれている。古代を受け継いだ山陽沿岸の航路や,三原沖から木ノ江沖へ抜ける三原瀬戸の航路,江戸期における松山藩の岩城島や今治藩の弓削島経由の伊予中乗りによる東上の航路からはずれた位置にある。16世紀,最終的に三原を拠点にした小早川隆景は,三津(現安芸津)とともに当港を大陸貿易の基地にしたといわれている。旧藩時代,瀬戸田港の周辺には塩田が発達し,塩や塩木の輸送を含めて船が往来した。内海で一般に航行障害となる西風を高根島や生口島が防ぎ,荒天の際の緊急避難にも有用であったとみられる。昭和58年では4万4,836隻,667万2,121総tの出入船舶があり,うちカーフェリー関係が1万9,901隻,377万1,717総tを占める。船舶乗降人員は122万6,485人で,県の地方港湾では厳島湾・小用港に次いで多い。海上出入貨物166万6,045tのうち,移出が80万7,598tで砂・砂利・石材関係が中心。主に尾道糸崎港との関係があり,尾道~今治航路の中継点となっている。「芸藩通志」によれば,居民は農商漁塩舟運に関係したといい,古くは1,000石以上の船が20艘もあったという。生口島を含む周囲の島々では製塩業が盛んで,塩木や石炭,塩などの輸送を含めて船乗業も多かったものと解される。また,同書は瀬戸田町で600石以下の船が124艘あったことを示しており,周辺地域における経済的な取引の中心として瀬戸田港の地位の高かったことを暗示している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7606096