犬鳴峠
【いぬなきとうげ】

粕屋郡久山町久原と鞍手郡若宮町犬鳴を結ぶ峠。「いんなき」峠とも呼ぶ。標高367m。直下を主要地方道福岡直方線がトンネルで通過。犬鳴山南麓に位置する。江戸期には，福岡市と鞍手郡・直方市方面を結ぶ要路であったが，明治中期以降は荒廃。第２次大戦中，軍事目的で着工した改修工事は中断を重ねながら，昭和24年完成，翌年から国鉄バス直方博多線が開通した。峠には犬鳴隧道があり，坂道は屈曲に富んでいたが，同50年に全長1,385mの犬鳴トンネルが完成，さらに県営犬鳴ダム建設（同65年完成予定）により新道路や犬鳴大橋が造られ，道路状況は一変した。久山町側の多々良川支流久山川の谷は砕石場が多い。若宮町側の峠の登口には犬鳴川のほとりに脇田温泉があり，犬鳴の谷には福岡藩の別館跡が所在。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7607110