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岡県
【おかのあがた】


旧国名:筑前

(古代)奈良期に見える県名。筑前国遠賀(おんが)郡のうち。「日本書紀」仲哀天皇8年正月4日条に,熊襲討伐のため西下した天皇を岡県主の祖の熊鰐が周防の沙麽に出迎えて服属し,海路,筑前の山鹿岬から岡浦へ導いたとある。岡県を支配する岡県主は遠賀川河口にあって海上交通をおさえた豪族として描写されている。この辺りが古来より海上交通の一大要衝であったことを反映した伝承である。「筑前国風土記」逸文は「塢舸(おか)県」と記す。同記には「塢舸の県,県の東の側近く,大江の口あり,名を塢舸の水門と曰ふ」とあり,当県は塢舸(岡)水門の西,遠賀川河口西部の地にあったことになっている。芦屋津は古くは岡津といい,芦屋町の一帯は岡県の一部を構成したと考えられる。また,芦屋町の西隣の岡垣町三吉の薬師如来造像銘は応永7年のものと推定され,その銘に「筑前国遠賀郡吉木郷岡三吉」と見え,吉木郷付近を岡と称している。吉木には印鑰社があり,郡衙推定地とされ,岡垣町には高倉などの古代の倉庫に関係する地名が見られる。岡県は芦屋町から岡垣町一帯に推定される。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7607136