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古処山
【こしょさん】


甘木市と嘉穂郡嘉穂町の境界にある山。古所山とも書き,白山・白髪山ともいう。標高859.5m。古処馬見山地の1峰で,西側に八丁峠・冷水峠,東側に屏山(へいざん)・馬見山・嘉麻峠へと続く。朝倉郡小石原村から馬見山―屏山―古処山を経て,甘木市秋月地区に至るルートは九州自然歩道になっている。筑豊地方(北側)と甘木・朝倉地区(南側)の境界にあたり,頂上は展望に優れ,東は英彦山,南は筑後川・耳納山地,西は有明海,北は飯塚盆地などを一望できる。天正年間に秋月一族が拠った古所山城跡がある。地質は山麓が花崗閃緑岩,標高600m以上は三郡変成岩からなるが,頂上付近には石灰岩が露出。この石灰岩は,結晶の大きさが,関の山・香春(かわら)岳に見られるような大型ではなく,米粒大で白米状になるため米石とも呼ばれた。古処山は石灰岩が多いこと,北陸の白山神を祀った白山神社の小祠があることで,白山とも呼ばれる。嘉穂町側の北斜面の植生は,山麓がスギ・ヒノキの人工林,標高600m付近から上は自然林が残り,アカガシ林からブナとの混交林,ブナの純林へと変化するが,頂上付近は石灰岩が覆っているため,ツゲの原生林となる。ツゲは,主として高さ4~8m程度で,まれに10mを越す大木,樹齢1,000年を超す古木もあり,国特別天然記念物。古処山は植物の垂直的分布が典型的であるため学術的評価も高く,県の自然100選にも選ばれている。登山口の1つ,甘木市秋月地区は筑前の小京都ともいわれ,秋月藩主黒田氏の城下町。史跡も多く秋月郷土館などがあり,訪れる観光客は多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7607192