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唐ノ瀬堰
【とうのせぜき】


八女(やめ)郡立花町谷川と八女市北田形を結ぶ堰。矢部川のほぼ中流部に位置する。延宝8年に設置。現在は石張りで堰長86m。柳川藩領の堰で,この堰から3,583mの回水路,柳川用水が通じ,現在の受益面積は立花町の80ha。矢部川中流から上流には,柳川藩・久留米藩堰が交互にあり,唐ノ瀬堰からの回水路は久留米藩花宗堰の下流に放流され,久留米藩が唐ノ瀬堰上流に,宝暦12年に設けた惣川内堰(八女郡黒木町・立花町)の回水路は唐ノ瀬堰の直下に放流した。両藩は水源を求めて競い,黒木町では貞享3年に込野堰(柳川藩),正徳4年に黒木堰(久留米藩),宝暦~寛政年間頃に馬渡堰(久留米藩),寛政6年に三ケ名堰(柳川藩),弘化元年に花巡堰(久留米藩)が築かれた。この水利様式を矢部川の回水路と称し,管理団体は旧柳川藩関係が柳川市外三か町土木組合(柳川市),旧久留米藩関係は花宗用水組合(八女市)があたる。回水路の延長と昭和55年の受益面積は,惣川内堰2,756m,41ha,込野堰1,382m,38ha,黒木堰4,075mのほか助水路2,576m,4,920ha,馬渡堰20ha(回水路なし),三ケ名堰8,720m,15ha,花巡堰3,267mのほか助水路1,050m,10ha。昭和38年,矢部川上流に県営日向神(ひゆうがみ)ダムが完成,唐ノ瀬堰から下流は同堰での調節により,左岸(旧柳川藩)と右岸(旧久留米藩)に平等に分水することになった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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