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名児山
【なごやま】


宗像(むなかた)郡の玄海町と津屋崎町の境界にある山。標高165m。宮地岳山塊の北端,桂岳の南に連なる小峰で,明治15年の字小名取調書では,「なちごやま」と読み,地元では現在も当山を「なちご」山,この山の峠を「なご」山越という。「万葉集」巻6には大伴坂上郎女が大宰府から帰京の折,名児山を越える時に「大汝,少彦名の 神こそは 名つけ始めけめ 名のみを 名児山と負ひて わか恋の千重の一重も 慰めなくに」の長歌を残した(古典文学大系)。「筑前名所図会」には「名児山田島の西なり,其東のふもとを名児浦といふ名所なり」と見える。玄海町田島には宗像大社の辺津宮があり,当時は海岸線が釣川沿いに神社付近まで湾入していたと思われる。名児山の南側を抜ける名児山越と称する古代官道の道筋については,練原から田島へ出る大坂越と,奴山から大現寺池のほとりを通って峠を越え,宿ノ谷の北方で大坂越に通じる名護山越の両説がある。倒木に道をふさがれた名護山越の峠に立つと,地ノ島や鏡ノ岬・皐月浜の眺望が素晴らしい。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7607287