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竜ケ鼻
【りゅうがはな】


北九州市小倉南区と田川郡香春(かわら)町の境界にある山。標高680.7m。山体は京都(みやこ)郡勝山町にも広がる。山名は,奈良初期の風土記編纂の際,好字の竜を用い,地形をその鼻に例えたことによるという。カルスト台地の平尾台が南に向かって次第に高くなり,最南端の竜ケ鼻から一気に金辺峠まで陥没して,その比高は460mに達し,南西壁は約55°の急傾斜をなす。この急傾斜は,小倉・香春線の断層により生じたもので,断層谷には金辺川が流れる。台地の頂面および側面の大部分は草原であるが,竜ケ鼻の南には石灰岩の露出する斜面があり,ケヤキ・イヌマキ・ムクロジなどの大木が茂って原生的な樹林をなす。イワシデ・ガマズミなど大陸系の植物のほか,樹陰にはミヤマイラクサ・ミツバベンケイソウなど県内では珍しい植物も見られる。金辺峠の登り口から空谷を一直線に登ると,約1時間半で頂上に着く。江戸期には,小倉藩の猪狩場となっていた。平尾台展望の最適地であるが,落石が多く,夏季にはマムシが出る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7607384