井辺里
【いべり】

旧国名:肥前

(古代)条里の里名。安元２年６月日付肥前国河上宮神田注文案に「壱町〈五月朔幣宮方国方饗膳料　井辺里廿八坪〉」「壱町〈六月名越祓御供并饗膳料　井辺里廿七坪五段　同廿九坪五段〉」（河上山古文書／平遺3766），文保２年２月10日付の河上宮免田坪々領主交名注文案に「一丁　井辺里廿七坪五反　同廿八坪五反　山田東郷　当宮座主」「一丁　井辺里廿八坪　同郷　千員　当知行巨勢大宮司」（河上神社文書／佐史集成１），正平９年６月日付河上神社役対捍免田畠等注文案に「五月朔幣田壱町〈同郷井辺里廿八坪〉巨勢大宮司入道□（跡カ）」（実相院文書／佐史集成16）とあり，山田東郷にあった。遺称地は残らないが，山田東郷は条の記載がある里では11～13条に限られており，その範囲内とその周辺と考えれば，大和(やまと)町久池井字惣座・同町川上字小隈付近から佐賀市鍋島町字増田・同市高木瀬町長瀬付近にかけての地であろう。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7607411