内大臣橋
【ないだいじんきょう】

緑川ダムの上流，約６kmの峡谷部に架かる橋。上益城(かみましき)郡矢部町目丸と下益城郡砥用(ともち)町大井早の山瀬を結ぶ。橋長199.5m，幅員5.5m，橋脚間153mの二重式アーチ橋で，水面からの高さ88mの鉄骨溶接橋。砥用町と宮崎県東臼杵郡椎葉村を結ぶ延長45.5kmの１級林道の一部として計画され，昭和36年９月着工。同38年10月，１億5,000万円余の工費で完工した。内大臣，椎葉村一帯の国有林の開発が主目的の林道橋で，完成以前は，下流の上益城郡甲佐町まで筏や森林鉄道によっていた木材の搬出も，現在はすべてトラック輸送になっている。地場産業の発達や，地域振興に果たす役割も大きく，下流の緑川ダム周辺の諸施設の整備とともに観光資源としての機能ももつようになった。橋の眼下に広がる峡谷，椎矢峠に至る道筋の紅葉，朱色に塗られた橋は，周囲の緑に一段と映える。管理は熊本営林局で，昭和55年まで一般の通行は有料であった。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7607746