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尾末湾
【おずえわん】


県北部,東臼杵(ひがしうすき)郡門川町の東部から日向市の東部に大きく展開する湾。日豊海岸国定公園に属する。北の門川町遠見山(307.9m)のある半島と,南の細島半島を結ぶ約5kmを湾口とし,そのほぼ中央にイクイバエがあり,灯台が設置されている。湾口は日向灘に面し,湾岸一帯は,沈水性のリアス式海岸であり,岬や柱状節理による大絶壁の海食崖の連なる岩石海岸で,海には岩礁が多い。地形的には,尾鈴山地の延長線上にあり,同山地の岬や谷が沈水。湾の南にある牧島山は,尾鈴山酸性岩類からなる。尾鈴山酸性岩類は新生代第三紀中新世の流紋岩。湾内は潮汐流が発達しているので,湾内の流動は大きく潮汐に左右される。湾外では一般漲潮流は北寄りに,また落潮流は南寄りの方向に流れ,南北方向に往復するが,イクイバエ付近では岸の方に湾曲した流線を描き,湾内を迂回する傾向がある。流速は大潮頃の最盛期で15ノット程度。乙島から竹島,イクイバエ付近までの海域では,湾外から迂回して入り込む流れの影響を受け,流向・流速はかなり複雑。細島工業港の入口付近および竹島の南東側の入江では,漲潮期に反時計回りの弱い渦がある。湾内にある細島商業港は琉球経由で中国と貿易が行われた時代,その寄港地であり,藩政期は日向諸大名の船出の港であった。県は細島商業港の北西部に工業港を造り,企業誘致を図ってきた。同地は昭和39年日向・延岡地区新産業都市に指定された。細島工業港からは川崎・大阪・神戸との間にカーフェリーが就航し,これにより本県の大都市向け施設園芸が急速に発展した。カーフェリー就航は昭和46年に始まる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7608069