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生物多様性条約
【せいぶつたようせいじょうやく】


Convention on Biological Diversity

生物多様性条約は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議(地球サミット)の場で、国連気候変動枠組み条約とともに採択され、168カ国が条約に署名した。条約は93年に発効し、2010年10月末現在で193の国と地域が条約に参加している。
条約の目的は、①地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全する、②生物資源を持続可能であるように利用する、③遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分する、の3点。これらの目的を実現するため生物多様性条約第1回締約国会議(COP1)が1994年、バハマで開催された。
2002年のCOP6(オランダ)では、「10年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」とする「2010年目標」を採択したが、現在も毎年約4万種が絶滅しているとする試算があるなど、損失速度は落ちていない。
COP9では、生物多様性の経済的価値を評価する動きもあり、「生物多様性版スターンレビュー」(TEEB)と呼ばれる調査の中間報告書を発表した。「森林生態系の劣化による経済的損失は00~50年に1.35兆~3.1兆ユーロに上る」と試算。また、「平均生物種豊富度(MSA)が50年までに11%、サンゴ礁は30年までに60%が失われる」と警告している。
COP10は、10年に愛知県名古屋市で開催された。「2010年目標」の達成度合いを検証。「目標は達成できず生物多様性の損失は続いている」という評価を下した。また、10年以降の戦略計画となる「愛知目標」を採択した。
遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する国際条約の「名古屋議定書」も採択。名古屋議定書は、11年2月から批准を開始し、50カ国が批准した90日後に発効する。
COP11は、12年にインドで開催することが決まっている。日本は、COP11の開催直前まで議長国としての責任を負うことになる。




(c)日経BP社 2011
日経BP社
「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」
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