予防原則
【よぼうげんそく】

precautionary principle
因果関係において科学的な不確実性が残っていても、大きな被害が予想できる場合は、早めに対策を打つという考え方。地球温暖化を抑制するための京都議定書や、有害化学物質の原則使用禁止を定めたEU(欧州連合)のRoHS(有害物質使用制限)指令が典型的な適用例だ。2002年にヨハネスブルクで開かれた持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境開発サミット)では、予防原則の明記に米国と日本などが反対し、「予防原則」ではなく「予防的措置」という言葉になった経緯がある。日米政府は予防原則の考え方を否定しないが、政策的な措置(アプローチ)の1つであり、「原則」とすることには同意していない。予防原則と混同しやすい考え方に「未然防止」がある。未然防止は科学的な因果関係がほぼ明白な場合に事前に対策を打つ、いわゆる転ばぬ先の杖。予防原則の特色は、科学的な原因解明が途中段階でも対策を打つことにある。

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![]() | 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523135 |