PRTR/化管法(化学物質排出把握管理促進法)
【ぴーあーるてぃーあーる;かかんほう;かがくぶっしつはいしゅつはあく】

Pollutant Release and Transfer Register
PRTRは「化学物質の排出移動量登録」。化学物質の排出量に関するデータを把握、集計し、公表する仕組み。市場にあるすべての化学物質の有害性を調べ、規制することは難しい。そこで環境や人の健康に影響を与える恐れのあるものに限り、排出・移動量を算定、公表することで、事業者の化学物質の管理と使用削減を促すことにした。1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択されたアジェンダ21で、PRTRの重要性が確認された。OECD(経済協力開発機構)が加盟国に導入を勧告し、多くの国がPRTRを実施している。また、オーフス条約に基づくPRTR議定書もある。
日本では、化管法(化学物質排出把握管理促進法)が2001年4月に施行された。
第一種指定化学物質について、事業者はPRTR制度に基づく排出・移動量の報告とMSDS(化学物質等安全データシート)交付の義務を負う。
PRTRの報告義務の主な対象は、製造業など24業種のうち、従業員数21人以上、対象化学物質を年間1トン以上取り扱う事業者などだ(医療業も対象となる)。化管法に基づき、国は、事業所からの届け出排出量と移動量の集計結果を毎年、公表している。
MSDSは、指定化学物質やこれらを含む製品をほかの事業者に譲渡、提供する際に、その性状や取り扱いに関する情報の提供を義務づける制度。取り扱う化学物質の情報を自ら把握して適切に管理するためだ。排出量の算定などをするための基礎情報ともなる。第二種指定化学物質は、MSDSの交付だけが義務づけられている。08年11月に同法施行令が改正され、第一種指定化学物質が462物質、第二種が100物質となった。改正後の物質によるMSDS情報の提供は09年10月から、排出量の把握は10年4月から、排出量の届け出は11年4月から始まる。

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![]() | 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523296 |