環境税
【かんきょうぜい】

environmental tax
環境への負荷を社会全体で低減するために、経済的負担を課す措置の1つ。二酸化炭素排出抑制を目的とする環境税は、「炭素税」とも呼ばれる。
環境省は、電気やガス、ガソリンなど二酸化炭素を排出するエネルギーに課税する環境税の創設を、毎年の税制改正で求めてきたが、負担増加を懸念する産業界などの反対もあり、導入はなかなか実現しなかった。しかし、「地球温暖化対策税」の導入を政策の目玉として掲げてきた民主党政権に代わり、現行の石油石炭税に「地球温暖化対策のための課税の例」を設けることにより、2011年度から段階的に導入することが決まった。
激変緩和措置として当初の税率は低率に抑えられるが、最終的には、原油・石油製品で1キロリットル当たり760円(現行税率と合わせて1キロリットル当たり2800円)、ガス状炭化水素で1トン当たり780円(同1860円)、石炭は同670円(同1370円)となる予定。完全実施した場合には年間約2400億円の税収が見込まれる。標準世帯の負担は、電気料金が月額34円、都市ガスが同10円となる見通し。ガソリンや軽油、灯油は1l当たり0.76円の負担増となる。税収は電気自動車の導入支援など温暖化対策に使用される。もっとも、この税率では化石燃料の使用を大幅に抑制するほどの効果は見込めず、アナウンス効果にとどまる可能性が高い。
炭素税は1990年にフィンランドが導入して以降、北欧諸国や英国、ドイツなどが制度化した。同じ経済的手法である排出量取引などに比べ、制度設計と実施にかかる行政コストが安く、企業だけでなく消費者まで制度の対象になる点が特徴である。一方、都道府県などの地方自治体が、産業廃棄物税(産廃税)や森林環境税などを導入する例も増えている。産廃税は主に最終処分場への産廃の搬入に課税する。森林環境税は県民税に上乗せし、税収は森林保全の施策などに使われる。

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![]() | 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523340 |