環境法
【かんきょうほう】

environmental laws
環境保全に関する法令の総称。憲法や条約、政省令、条例、個別法の環境関連条項も含まれる。環境法の対象領域は広範で、その所管は環境省だけでなく各省庁にまたがる。戦後の高度経済成長とともに、日本の環境法は、公害問題に対する規制を中心に制定された。1967年成立の公害対策基本法で典型7公害が定められた。68年に大気汚染防止法、70年に水質汚濁防止法ができた。70年の通称「公害国会」では、14の公害関連法を制定、改正した。71年に環境庁を設置し、72年に自然環境保全法、73年に化審法(化学物質審査規制法)が制定された。自治体では、法律より厳しい基準値を条例で定める「上乗せ基準」や、規制項目を加える「横だし規制」などが行われている。80年代に入ると、環境影響評価(環境アセス)法案が廃案になるなど停滞期があった。しかし、地球環境問題や化学物質汚染など、新たな問題が浮上。92年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)の影響もあり、93年に公害対策基本法に代えて環境基本法が制定された。現在は、同法の下に分野別の環境法が並ぶ。91年には廃棄物処理法を大幅に改正し、再生資源利用促進法(旧リサイクル法)を制定した。97年に環境影響評価法、98年に温暖化対策推進法、99年に化管法(化学物質排出把握管理促進法)を制定、各種リサイクル法も次々に成立した。2000年には循環型社会形成推進基本法を制定した。国内の環境法には、国際的な取り決めや条約の動きが大きく影響している。OECD(経済協力開発機構)が提唱したPPP(汚染者負担原則)やEPR(拡大生産者責任)などだ。また、08年に生物多様性基本法ができ、09年に土壌汚染対策法や化審法、化管法施行令が改正された。さらに10年には大気汚染防止法や水質汚濁防止法が見直された。今後、環境アセス法の見直しや「地球温暖化対策基本法」の制定が予定されている。

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![]() | 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523343 |