カーボンナノチューブ
【かーぼんなのちゅーぶ】

carbon nano tube
グラファイトのシートを丸めた構造の直径1~数十ナノメートルの円筒状物質。単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブの二種類に大別される。このほか、先端が動物の角のような形状をしたカーボンナノホーン、カップ形状のものなど多様な構造のナノ構造体が発見されている。
カーボンナノチューブの第一の特徴は、先端が尖ったアスペクト比の高い細長い形状であること。このため、電界放出ディスプレイ(FED)の電極やトンネル顕微鏡の針として使われている。このうち、カーボンナノチューブを使ったFEDは、低消費電力、高輝度、視野角依存性がないこと、自発光であることなどが特徴。
燃料電池分野では水素貯蔵材料と電極の担持材料として使う研究が進んでいる。カーボンナノチューブはファンデルワールス力によって水素を吸着する。ただし、熱的な振動で水素が離れるために液体窒素を使って低温にしなければならない。触媒の担持材料としては、カーボンナノホーンの凝集体が角状の突起が集まって絡み合った状態であり、その中に微細な白金粒子が入り込み、均一分散が可能なことから出力アップにつながる、とされている。
カーボンナノチューブは15ナノメートルより細くなると量子効果が発現し、半導体になるものがある。そこで、半導体ナノチューブを使ってトランジスターを作る基礎研究が行われている。既存のシリコン半導体の微細化の限界を打ち破る存在として期待されている。
【参照キーワード】
単層カーボンナノチューブ

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![]() | 日経BP社 「プロフェッショナル用語辞典 環境テクノロジー」 JLogosID : 8523493 |