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アルゼンチン
【あるぜんちん】


亜尓然丁/aruzentin

【江戸時代】南アメリカの南端、1816年アルゼンチン共和国として独立。首都、ブェノスアイレス。[中国語]阿根廷。Argentina.

【語源解説】
〈銀の土地〉の意。イタリア人探検家、セバスチャン・カボットCabotが、そこに流れる大河をラプラタRio(河)de la Plata(Prata=銀)と命名。この国を〈ラプラタ銀河の国〉と称した(カボットは川の流域で銀が採れると誤解した)。のち、独立の1816年、植民地のイメージを取り去るためにも、〈銀の〉の意のスペイン語、アルヘンチナargentina(ラテン語のargentum)で置きかえ、tierra argentina(銀の土地=国)とよぶことにした。こうして、英語よみのアルゼンチンも成立。江戸期日本人ではラプラタでも理解していたようである。ただし新井白石『西洋紀聞』(1715成)に、捕らえたシドチのみせた〈スクウタアルセンテヤ〉という銀貨に関して、〈スクウタは其銀の形の名也。アルセンテヤとは銀といふ事の番語〔蛮語〕也〉とみえ、アルヘンチナの〈銀〉も了解していた。

【用例文】
○南(ソイド)亜(ア)墨(メ)利(リ)加(カ)之部、銀河 シルヘル、ルヒール{○}又ラプラタ〔la Plata〕(蛮語箋)○亜(アル)然(ゼン)丁(チン)合邦 一名、拉(ラ)巴(プ)拉(ラ)他(タ)、此国ノ地勢ハ巴(パ)拉(ラ)拿(ナ)河一名拉巴拉他河ノ河{つちじゅ)(カゼン)其大部ヲ領シテ両個ノ広衍ナル平原ヲ為ス(輿地誌略)○亜尓然丁(あるぜんちん)共和国(水野広徳)○アルゼンチン、アルゼンタイン(森田思軒)
【補説】
『蛮語箋』で〈銀河{ぎんが@銀河}〉と訳をあてているのは、語源的にきわめて正統といえる。〈リオ・デ・ラ・プラタ、銀の河の国〉であるから。




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「語源海」
JLogosID : 8537093