心
【こころ】

kokoro
【古代】感じ、考え、知るなど、精神、またそのはたらきの総称。古代から〈歌の心〉など、〈意味〉の意でも用いる。[中国語]心、精神、意思。mind, heart, will, meaning.
【語源解説】
〈凝(こ)る〉と同根語。コルまたココルともいい、ココルkokoru→ココロkokoroと、〈凝りかたまったもの〉の意。したがって、むしろ有形な心臓などを具体的にさしたと思われる。のちにこの心臓のはたらきをさすようにもなった。
【用例文】
○大君ノ許許呂(ココロ)/汝(いまし)ノ心ノ清ク明キ(記)○丈夫の聡き神(こころ)も今はなし(万)○心 白虎通ニ云フ、心、火之精也、色ハ赤/掌 mini{和名、太奈古々呂(タナゴコロ)、一云フ、太奈曽古(タナソコ)} 手心也(和名抄)○世の人も心ある限りは歎きけり(源氏)○凝mini{コル、ココル}(名義抄)○心(ココロ)mini{五蔵之一}(伊呂波字類抄)○シタゴコロ〔内心、かくれた意味〕(イソポ)○心(コヽロ)安(ヤスシ)、心(コヽロ)元(モト)无(ナシ)、心(コヽロ)寄(ヨセ)、心(コヽロ)得(エ)、心(コヽロ)操(バセ)、心(コヽロ)替(カハリ)(易節用集)○Cocoro. ココロ 心/物事の意味、わけ、またある場合には意志、願望(日葡辞書)○旅人のこゝろにも似よ椎の花(芭蕉)○心(こゝろ)、意(同)(早節用集)○心 ハルト○ヘルト〔hert〕(蛮語箋)○心の鬼もとりひしく和歌の徳(川柳)
【補説】
具体的な心臓より抽象的な広い意味をもつようになった。漢字の〈心〉も心臓の象形。複合語、志(こころざし)(心指し)、掌(たなごころ)(手心)、試(こころみる)(心見る)などをみる。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537536 |