心中・相対死
【しんじゅう】

sinzy^{u}
【江戸時代】相愛の男女、あるいは親子が、添いとげられぬことや生活苦、家庭苦などから、合意のうえ死ぬこと。前者は〈情死〉、公的には、〈相対死〉という。〈親子心中・一家心中〉など親子の場合は合意なく一方的に親の意志での心中なので、〈無理心中〉などと表現する。これは明治期にはいってからの用法であろう。また死と無関係に、一つのことに全力をふるって何かをするときにも〈~と心中する〉などと用いる。[中国語]情死、一同自殺。lovers' suicide,suicide en masse.
【語源解説】
遊里語の一。〈心(しん)中(じゅう)立(だて){しんじゅうだて@心(しん)中(じゅう)立(だて)}〉の略。すなわち、心の中の誠意を示す、立てること。そして相愛の真実を示し、結ばれるようにすること。しかしさまざまな制約からそれがかなわぬとき、死を選ぶことをそのまま〈心中〉と表現するようになった。〈心中立〉のために、証拠として相手に自分の爪や髪毛など、肉体の一部を与えた。それを手元にとどめておくための〈心中箱{しんじゅうばこ@心中箱}〉なども用意(もっともこれは遊女の間であって素人の場合は別)。心中は江戸期に遊女(傾(けい)城(せい){けいせい@傾(けい)城(せい)})と客の間でおこったのが起源。無理心中は誠意とほど遠い。
【用例文】
○そもそも達人の家に心中箱といふ物あり(色道大鏡)○表(おもて)うらなき心からは、心(しん)中(ぢう)をなし、又身(しん)命(めう)をうしなふはけつくけいせい也(好色袖鑑)○心(しん)中(ぢう)死(しに)、男は脇ざし、娘〔遊女〕は剃(かみ)刀(そり)、諸国の色人〔遊女〕心(しん)中(ぢう)のなりさまを爰(こゝ)にあらはす/女郎の心(しん)中(ぢう)に髪を切、爪をはなち/心(しん)中(ぢう)箱(ばこ)(西鶴)○曽根崎心中/小春〔人名〕心中よしいきかたよし床(とこ)よしの小はる殿/ちかひの綱心中と、目ごとになみだをかけにける(近松)○心(しん)中(ぢう)(早節用集)○たとへみめわるき男にても、心に思ひ付しんから忙(ほれ)て来る。又信をすごして道(みち)野(の)辺(べ)で相対死(しんぢう)したり(洒落本)○男女互の心中を見せんとて共に死(しぬ)るを俗に心中といふ。官所の辞には相対死といひ、西土にては雙(セキ)斃(ヘイ)といふ(類聚名物考)○不義にて相対死いたし候もの(徳川禁令考)○心中を魚屋おひれをつけていひ/心中の場所にちらほら蓮花草(川柳)○シンヂウ 情死 あの世界でともに住むべく愛する二人(ラバー)がともに自殺すること(ヘボン)○当時相対死と云つた情死を謀って(森鴎外)○金と心中する覚悟でなければ遣(や)り通せまい(漱石)

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537665 |





