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双六・雙陸
【すごろく】


sugoroku

【古代】古語、〈すぐろく{すぐろく}〉。インド起源で中国渡りの遊戯具。ただし、現代のスゴロクは一枚の紙面を〈振り出し〉から、〈上り〉まで小区画に分けて描き、賽ころで数をふりだし、その数(目)の分だけ区画を進み、最終的に上がりに到達して勝ちとなるゲームの一種(新しい双六)。一般に絵が描かれているので、俗に〈絵双六{えすごろく@絵双六}〉ともよんだ。本来は古代、貴族の間でおこなわれた室内ゲーム。囲碁などと同じように、二人で盤上に賽ころをふって、12の駒(碁石)を動かして勝負をきめる。バクチとしておこなわれたので、しばしば公的に禁止令がだされた。[中国語]双六。

【語源解説】
漢字で、〈双六・雙陸〉と書く。賽ころを二つ用いるので、〈双(ソウ)・雙(ソウ)〉。古代漢字音でスグ、同じく〈六・陸〉はロクの音。サイコロが〈雙(ナラブ)コト六ヲ得バ則チ勝ザルナシ〉(五雑爼)とあって、勝チの状態が〈雙六〉となる点で、呼称とした。したがってスグロク{すぐろく}sugurokuとよび、母音交替で近代語はスゴロクsugorokuとなった。

【用例文】
○双六ヲ禁断(紀)○一(ひと)二(ふた)の目のみにあらず五つ六つ三つ四つさへあり双六の{采78}(万)○雙六 俗ニ云フ須(ス)久(グ)呂(ロ)久(ク)(和名抄)○雙六打つときのことばにも明石(あかし)の尼君明石の尼君とぞ(源氏)○賀茂河の水、雙(すぐ)六(ろく)の賽(さい)、山(やま)法(ぼう)師(し)、是ぞわが心にかなはぬもの(平家)○双六の上手といひし人(徒然草)○夫雙六の基は遠(とほく)西天の古より、近く東土の今に至、伝て絶ざる翫(宴曲抄)○雙(スコ)六(ロク) 又ハ博陸(バクチ)ト云フ(下学集)○双六(スグロク)、愽陸(同)(運歩色葉集)○双陸ウ(ッ)タリ投壼ノ戯シタリ(史記抄)○弓、鞠、庖丁、碁、双六、馬のふせおこし(狂言)○Sugurocu. スグロク 駒を使用しての勝負ごと。スグロクヲウツ/スグロクズキ=賭(と)博(ばく)師(し)、雙六の好きな人(日葡辞書)○是は双六の碁いしといふ物也(醒睡笑)○双六のうらみを文に書尽し(芭蕉)○塵紙(ちりがみ)にて双六(すごろく)の盤(ばん)をこしらへ(西鶴)○たけさい02(さい)をとれば攤(すごろく)うたんことをおもふ(好色破邪顕正)○雙(スゴ)六(ロク)、{きや)槊(同)(書言字考)○双(すご)六(ろく)、双(すご)六(ろくの)塞(さい)、双(すご)六(ろく)てへんひら(ばん)(早節用集)○雙(スゴ)陸(ロク)、打双六(スゴロクウツ)、樗蒲矢(スゴロクイシ)、雙陸子、馬子(雑字類編)○双六は京でふっても日本橋(川柳)○スゴロク 雙六 賽ころで遊ぶゲイム。backgammon.〔西洋双六〕(ヘボン)○世は双六(すごろく)のさい翁の馬よりも(川上眉山)
【補説】
古代のスグロク、スゴロクの交替は17世紀後半か。現代風〈すごろく〉は江戸期のもので、東海道五十三駅をえがいたものなどを〈道中すごろく{どうちゅうすごろく@道中すごろく}〉といった。なお中国で〈胡(コ)戯(ギ)〉とのべているように、中国渡りの〈雙陸〉も源流はインドで、天竺(インド)→震旦(シナ)→日本と伝えられた。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537682