疲れる・労れる
【つかれる】

tukareru
【古代】精神面、肉体面、さらに物質の面でも、長く用いたために次第に本来の力などが弱ってくること。[中国語]累、疲労。get tired.
【語源解説】
古形、〈つかる〉。心身の力が底をつくほどになる、すなわち、〈尽く、尽(ツ)きる〉と同根語。おそらく、四段活用ツクが根源で、それが二段活用に語形変化をとって、ツカルとなり、さらに口語形(一段活用)の〈ツカレル〉が成立したのであろう。日本語の動詞は、時代順に、四段→二段→一段と活用語形が変化するシステムをもつ。自ずと力が減退するさま。近代語として、〈つかれる〉の語形となる。
【用例文】
○王鉾(たまぼこ)の道行き疲(つかれ)いなむしろしきても君を見むよしもがな(万)○{りっしんび} 疲也、mini{豆加留(ツカル)}(mini{享和本}新撰字鏡)○耆、憊、露、困、{まだれやせる}、疲、労、老、羸mini{ツカル}(名義抄)○心はたけくおもへども、いくさにはし〔為〕つかれぬ/みなつかれはてゝ(平家)○長途ニ疲(ツカレ)テ/世路ノ嶮難(ケンナン)ニ疲(ツカレ)テ(海道記)○Tc{c}ucareru. ツカレル/ツカレハテル/ツカレフス/ツカレゴイ=弱々しくやさしい声で乞い求めること(日葡辞書)○困(つかる)mini{こん/たしなむ、きはまる、くるしむ}(落葉集)○疲(ツカルヽ)、倦(同)(易節用集)○長途のくるしみ身心つかれ(芭蕉)○あつきときはすゞしくして、一日のつかれをたすくるなり(好色袖鑑)○疲(ツカルヽ)、{めひろき)(同)、倦(同)、羸(同)、労(同)、憊(同)(書言字考)○疲(つかれ)、疲果(つかれはて)(早節用集)○御大客〔大勢の客〕にて御労(おつか)れ察入申候(蕪村)○つかれたでぐうの音も出ぬ鐘くよう(川柳)○ツカレル 疲労 ナガミチヲアルイテアシガツカレタ、アラシゴトデツカレタ(ヘボン)○今日(けふ)は谷中(やなか)に行きて足の疲(つ)かれぬ(樋口一葉)○疲(つか)れたる硝子(がらす)より弊私的里(ヒステリイ)の瞳(ひとみ)を放(はな)つ(北原白秋)
【補説】
用字もさまざま。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537804 |