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手筈
【てはず】


tehazu

【江戸時代】仕事の分担や順序。段取りを前もって用意すること、また、計画そのものもいう。[中国語]程序、準備。arrangements, program.

【語源解説】
〈手〉は何か仕事、ことを意味し、〈筈〉は、弓(ユ)筈(ハズ)、矢(ヤ)筈(ハズ)の筈の転用で、予定しているとか、そうした当然帰結するところ、また道理などを意味する。したがって、〈手筈〉はことの段取りなどをさすようになった。ただし、原義として、AとBなど両者の関係が存在することが前提。是は筈の本来の意味からである。おそらく17世紀、江戸時代にはいって、創作された日本語であろう。

【用例文】
○然るを貴賤のかい手、つねの若衆ぐるひのてはづにしては中{おどりじ01}ゆかず(男色十寸鏡)○〔送金が〕今日迄とどかぬ故大じの御用の手はづがちがふ(近松)○てはづ 俗語也、互に事をしかはしなどするうへにいふ詞也、手筈のあふ、または手筈のちがふなどいふによれば、箭(や)をつがふにつきていふ詞、古き比にはなき語也(倭訓栞)○テハヅ 手筈 plan, project, arrangement. 手筈がハヅレル(ヘボン)○樽(たる)御(み)輿(こし)をとりまひて喧(けん)嘩(か)の手筈をしめしあはす(中勘助)
【補説】
江戸期にも、用例はすくない。きわめて日常的な用語か。中世の作品、『義経記』に、〈中(なか)差(ざし)〔戦うための矢〕参(まい)らせて現(げん)世(ぜ)の名(みゃう)聞(もん)と存ぜうずるに、御手(て)はつ給ては、後世の訴へとこそ存候はんずれ〉(巻五、忠信吉野山の合戦の事)とみえ、〈御手はつ〉の語を江戸の学者は〈御手筈〉と解しているが、意味が通じないとして、〈御てうど(調度)〉の誤写としている。〈御手筈〉で意味のとおらぬこともないが、〈後世〉が冥土のことらしい点、なお考えるべきであろう。⇒〈はず〉




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537836